片方の目を閉じたほうが楽に見える??(物が二重に見える)

80歳前半の男性A様の場合。
「最近メガネが合わない。4年前に貴店で誂えたメガネは、1年半くらいは良かったが、2年前くらいから見にくくて、しばらく辛抱していた。最近物が二重になり、両眼で見ると物がダブるようになった。」そこで、10年前に左目白内障手術をしたK大手病院の眼科に相談に行かれたそうです。「斜視だろう。」というだけで何もしてくれない。目の検査をして視力を出してほしいとのこと。目の症状は、16年前に左目、白内障手術、右目は緑内障治療中。身体の症状は高血圧、糖尿病の薬を飲んでおられます。1か月前に脳梗塞で軽かったが言葉が少し喋りつらかったとのこと。不整脈あり。

主訴はみえにくい。輪郭がはっきりしない。日常生活、階段を降りるときは、片目をつぶらないと歩きにくい。道路一車線走行しているのに、車が2台に見える。
 水平眼位のカバーテストでは遠方は大きな内斜位のズレがあり、近方のカバーテストは外斜位の眼位です。「上下に二つに見える」とのことで上下の偏位は少なくても、プリズム矯正が必要と判断されます。急性内斜視(位)でないと思われますが、頭蓋内病変を原因とするタイプか?原因不明タイプか?通院されているK大手病院でCTやMRIの検査をされましたが、眼圧や眼底には異状なく「著変なし」とのことでした。
 原因不明の中には、元来融像力の不十分さがあり、もしかしたらストレスの緊張で融像力が失われたかと考えられます。先生は斜視だといわれましたが、
両眼視できるのでA様は「斜位」でした。
 検査の結果、「遠くのものが2個に見える。」時は、物体を一眼(片目)で見るほうが見やすく生活しやすいですが、常に片眼視するので疲れます。出来れはプリズム処方をしたメガネで常時両眼視することをお薦めします。
 A様は、近視性乱視と近視の傾向であり、水平眼位は高度の内斜位でした。そして、上下の偏位は、中・高度の左、上斜位でプリズム矯正が必要でした。 高齢者になると調節力が減り、普通の人と比べると輻輳過剰(目が内に寄る状態)
になり内斜位になりやすいです。A様はプリズム処方したメガネで特に問題なく生活が出来るようになられました。