大型メガネ店で新調したのに、使えない眼鏡(複式用メガネ)

60歳の男性の方、A様。18歳の時に事故で脳の開頭手術を受けられたそうです。そして1年後19才の時に、事故による外斜視の手術を2回されました。外斜視とは右眼か左眼どちらかの視線が外側に向かっている状態です。いつも外斜視になっていると恒常性外斜視になります。おそらく重度斜視が固定化されたか?されると困るので手術をされたかと思います。また重度の偏位置が大きい場合は斜視手術されても、眼位が戻り術後に再び外斜視になる場合がしばしば見られます。また、両目の協調性も悪く、遠近感が悪いと、お仕事や日常生活にも影響します。A様の主訴は、メガネが壊れたので、大手量販のメガネ店で眼科処方箋で作ったが、見えないので再度レンズを入れ替えてもらったが見えない。話にならない、前回は専門店のメガネ店で何の問題なくできていたのだが・・と何とかして欲しいと「笑顔でおつきあい」の新聞をご覧になりセカンドオピニオンに来られました。   新しく作られたメガネは、見えにくい。疲れやすく、特に眩しい、両目で見ることが出来ない(両眼視が出来ない。)ため、屋外で片目をつぶりやすくなる。

現在は二つのメガネを組み合わせて掛ける複式跳ね上げメガネを使っておられます。一つは常用メガネ、もう一つは老眼メガネを重ねて見るのが複式メガネです。詳しく説明しますと、老眼鏡を内側に、遠く用を外側に、2組をセットして一つのメガネとして掛けて、日常は2組重ねて見て遠方用、内側の老眼鏡は前のレンズを跳ね上げて、内側で見る訳です。
 早速、検査しますと、使用されているメガネは、遠方=遠視  近方=弱い老眼でした。ご持参メガネは仕上がり度数がうまくできていませんでした。処方箋の確認と計算違いで大きく出来上がり度数が変わります。前掛けの近視の度数と、後掛けの近用度数を正しい計算ができなかったように思われます。  検査の結果、遠方は右=遠視、左=近視。矯正視力は、右目=1.0 左目=1.0です。片眼づつの視力は良好であっても、完全抑制(両眼で見ているつもりでも、脳では一眼の視覚情報しかとりいれない場合)があります。また、事故で外傷性散瞳(瞳孔が開いてしまう)のため黒目の周りの茶色い部分が狭くなると瞳孔が開いて大きくなり、眩しく、また眼瞼下垂になりやすく、眼位が上下にもズレやすく、見えにくくなります。
 A様は、時間をかけて眼のトレーニングが必要です。視力は、正しいメガネを掛けて積極的に物を見ることとトレーニングをすることで、少しずつ改善するものと思います。少し時間はかかると思いますが、根気よく続けられることが必要でしょう