外斜位ではじめてのプリズム(近視の目)

さて、今回の事例は、26歳Y様男性の方です。眼科で斜位を指摘されたそうです。
これは他店のメガネ店でも何度かいわれていたようであります。しかし、これまでプリズム眼鏡の経験はない。眼精疲労があると言っておられます。眼鏡は、数週間前に作成したばかりですが、必要であれば眼鏡を作りたいと意向がありますので、測定(検査)をしてほしいとご来店頂きました。

現在仕様の眼鏡とその視力は
右目=1.5 S-3.25 C-1.00AX160° 
左目=1.5 S-3.25 C-1.00AX160° と良く見えています。
これによるカバーテストはプリズム4 ベースインで外斜位の状態です。輻輳には問題なし。
自覚的屈折検査 片眼遮蔽 両眼開放
   右目=0.2(1.5 S-3.25 C-0.75AX160°) 右目=1.5 (S-3.25 C-1.00AX155°
   左目=0.3(1.5 S-2.75 C-2.00AX160°) 左目=1.5 (S-3.00 C-1.50AX180°

調節バランス 右目=S-3.25 C-1.00AX155° 遠見眼位  プリズム5 ベースイン
        左目=S-3.00 C-1.50AX180
遠見融像幅 (左右2つの右像 、左像をひとつにまとめ単一視する働き)
      限界点=7プリズムベースイン~プリズム0 回復点=プリズム5ベースイン~プリズム2ベースイン
検査の結果から屈折異常は、ほとんど現在の仕様眼鏡と同じである。最大の問題点は、輻輳幅にある。遠見の融像域プリズム7ベースイン~プリズム0は、極めて狭いと言えます。眼位のプリズム4ベースインはよく見かける軽度の外斜視であって、本来なら必ずしもプリズム矯正の必要はありません。
 しかし、融像の狭さからすれば、正位斜視と呼ばれる範疇に近い印象を持ちました。この融像幅が眼精疲労の最大の原因と考えれます。そこで、プリズム矯正の必要性は欠かせないものと判断しました。矯正の値として、まずカバーテストのプリズム4ベースインを試みました。すると床がかなり持ち上がって見えると訴えられた。掛けにくいとの主張です。徐々に弱くしてプリズム1ベースインに至った次第です。先ほど正位斜視とっ表現をしましたが、床が盛り上がるという表現は明らかに両眼機能の存在を示すものです。
 ゆえにY様は、メガネレンズを取り替えることになさいました。度数は変わらないものの、眼位の方向を指定することで、見たいところにピントが素早く合いこれによって眼精疲労が改善されることでしょう。