遠近両用の不慣れの要因-常にふらつきますと・・・なぜ?

今回は70歳、A様女性のお客様です。「眼科処方箋でメガネを誂えたが、常にふらつくので耳鼻科、眼科にいったが問題ないと言われたが、メガネかなぁ?」とご来店下さいました。A様は「遠近両用メガネ」「手元専用メガネ」「オシャレメガネ」など複数のメガネをお持ちでした。専門店で作られたり、百貨店、ディスカウント店でも作られましたが、「どこで作ってもしっくりいかない。」と、
 新しいメガネは1月に他店で作られた遠近両用メガネです。しかし、「歩くとふらつき、常に目がまわっているような感じ。」とおっしゃいます。 どの遠近両用メガネも、違和感が強く、見えるのも少しの時間だけですぐに見えにくくなり疲れやすい。手元は遠近両用メガネの上から、ルーペを使って見るので何かと不便です。「日常掛けれる遠近両用メガネを!」とのことでした。
お身体の症状は、高血圧、糖尿病、心臓などのお薬を服用されておられます。

早速、検査してみます。
ご使用メガネの度数は、左右ともに「遠視性乱視+老視」です。カバーチェックで外斜位がありました。外斜位は加齢と共に眼位が外に開きやすくなることがあります。また、近くは輻輳の質がやや悪いです。両方の目の使い方、両眼視機能にも問題があります。遠視の度がすべて軽すぎます。
一方乱視の度は強すぎました。近用が見にくいので(老眼鏡)の度は強くなければなりません。
このように合わすと遠近のバランスが悪くなり、疲れや違和感の原因になり、長時間使用する掛けやすいメガネは出来ません。
 視力を測る時、まず視力は無限遠で矯正する。実際には5mで矯正した後、遠くの物を注視してレンズを試みる。無限遠を見た時、視力が落ちないことを確認しなければ遠方の度数は決まらないはずです。「遠近両用メガネレンズ」は、単に近視や遠視、乱視といったレンズと違い、焦点が一つではありません。そのため快適な「遠近両用メガネ」を作ろうと思えば度の設定(検査)だけではなく、作るためのレイアウトや作り方にも工夫が必要になります。A様場合、遠視、乱視の度数の違いに、左右のアイポイントの位置が高すぎて掛け方にも問題がありました。これがふらつく原因だったと考えられます。潜伏していた斜視には「プリズム」レンズを組み合わせて遠近両用メガネをお作りしました。今までのメガネと相当変わりますが、近くも、ルーペを使わずに楽に読めます。 日常生活の質も上がり快適にお使いいただけるでしょう。