必要な時しかかけないメガネの違和感???

68歳の男性A様はこれまでの近用メガネが見えにくくなってきたと言うことでご来店下さいました。
現在使用 遠用メガネ 右=S+2.00 L=S+2.5 今回5mでの基本度数はRV=(1.0X S+0.50C-0.50AX110°) LV=(1.0XS+1.25 C-1.00AX85°)でした。これまで使用のメガネは5年ほど前に作ったとおっしゃいますが、もっと古い感じです。A様は普段は裸眼で生活をされておられ、本を長時間じっくり読むと言う事はあまりないという事です。新聞を少し見たい時などに老眼鏡を使うというタイプで、既成老眼鏡をいくつか持っておられます。既成のものでもある程度は見えるが、やはりちゃんと眼に合わせたものを1つ持っておきたいと来られたわけです。

※ 近用メガネを使わず裸眼で過ごす方のメガネの見え方はなじみがないので、空間の違和感に敏感であることが多いものです。

まず、新聞などを見る距離を尋ねて基本度数におよそその加入度(年齢から概算)を与えます。2.75を加入して、明視域をみて見ました。試験度数R=S+3.25C-0.50AX110°L=S+4.00C-1.00AX85°
 すると、こんなに近くで見る事は無い。もしもう少し遠くでも良いとのことで、あと0、25D分マイナスに下げると、視距離としては、ちょうど良いと言うことになりました。

 候補仮度数R=S+3、00 C-0、50AX 110°L=S+3、75 C−1、00AX85°
 ところが本を見るとなんだか形が歪んでいるとおっしゃいます。
 これまでのメガネは乱視は入っていなくて、しかも左右の球面度数の差が0.5Dでしたが、今度はこれだけの乱視があってその乱視度数が左右で0.5D違い、しかも垂直経線において約0.7Dの差が出ていますから、空間視としてはおかしく感じるわけです。 これが遠用か遠近両用で、常用のメガネなら使っているうちに馴染んでいくと言う事は十分にあり得るのですが、必要時にしか使用しないメガネの場合は、空間視の違和感にはなかなかなじみにくいものです。なぜなら、A様の場合、たいていは物が最も自然に見える裸眼で過ごしているわけですから。

 それで、次の①のように修正してみました。
①右=+2.75 左=S+3.50C-0.50AX90 ①でもまだややおかしいとのことなので、右の度数を元に近い状態に戻して②のようにしたらOKでした。②右=S+3.00 C-0.50AX100°左=S+3.50 C-0.50AX90°乱視が左右で似ているからでしょう。近視矯正視力は若干左の方が劣りますが、以前からそういう状態だったので、別に違和感は無いようです。近用メガネ(老眼鏡)においても、他のメガネと同様に、乱視や不同視があって以前とかなり様子が変わったという場合には、特に注意が必要です。