遠近両用メガネで近用(老眼鏡)が見えない!

今月はよくゆるく合わせすぎたメガネの弊害と隠れ斜視による一例です。50歳の軽近視がある男性のお客様A様の事例です。最近大手メガネでお作りになられたそうです。10年前はソフトコンタクトレンズを使用されていましたがドライアイでメガネに移行されました。現在A様が常時使用しておられるメガネは遠近両用メガネです。仕事で運転され、会社ではパソコンをされます。遠くはよく見えるが手元の文字が見えにくい。体の症状は頭痛肩こり、メガネをかけると目が疲れやすいそうで、ご自分ではパソコンのしすぎか?と思っておられます。新調されて1年位です。毎年くらいに他店で検眼して新調されていましたが、「すぐに近くが見えにくくなり、目が疲れる。」と手元を見るのに不便を感じられるようになり、今回は当店を選んで初めてご来店なりました。

 さて、A様の検査の結果、左右とも軽度の近視と近視性乱視でした。矯正視力は両眼とも1.0ほど見え問題は無いようです。遠くを見るのは問題ありません。老視の程度は軽度です。車の運転が多いので軽めにしたのでしょう。 
 しかし、遠方は(近視)過矯正でした。これだけでしたらあまり問題はないのですが、少し気になりましたので眼球の運動力を測定すると「目力」が弱いことが分かりました。あまり測定されない両眼の協調性でかなり大きめの隠れ斜視が出てきました。外斜位、目の打ち寄せがかなり弱いようです。近くを見るのに目が中に寄りにくく見たいポイントがずれて見づらくなり、一生懸命見ようとすればするほど疲れてしまいます。今までこのような検査をされたことがなかつた様です。A様の場合はプリズムレンズで左右の目の協調性を良くしました。老視が出てきますと手元が見えにくなりますから、老視の度数は弱すぎない程度が良いです。 遠近感は目の打ち寄せが弱いせいではないかと思います。今まで両目でしっかりと物を見ることが少なかったなのでしょう。時間を掛けて目のトレーニングの必要がありそうです。視力は正しいメガネを掛けて積極的に物を見ることで少しづつ回復すると思います。遠近感は、両目を同時に使うトレーニングやいろいろな距離に素早く「より目」が出来るトレーニングが必要です。少し時間はかかると思いますが、いったん良くなれば再び悪くなることはありませんから、根気よく続けられることが必要でしょう。眼精疲労も軽減されることと思います。