目の使い方で、傾いた姿勢が変わる?

73歳、女性のお客様A様です。
 10年前に量販店のメガネ屋さんで作られた遠近両用メガネをご持参下さいました。最近、遠くが見えにくく、肩こりあり、左側のみ凝る。腰が悪く毎日、腰のリハビリ治療に通院されています。高血圧の薬を服用されていますので体調は普通だそうです。ご来店時に、頭と首が30度くらいかしげて左肩が斜めに下がりぎみなのが気になりました。お持ちの遠近両用メガネは普段は掛けられず、もっぱら老眼鏡に使用されているそうです。持参のメガネは、作った時から常時使用ができなかったそうです。常に掛けれるメガネが欲しいとの事でした。

ご使用メガネの度は右目=軽度の遠視と遠視性乱視。左目=遠視と軽度の遠視性乱視、いわゆる遠視ががったメガネに老眼鏡の度が組まれた遠近両用メガネでした。 早速、検査をしてみますと・・・裸眼視力は右=0.1 左=0.15 日常生活にはメガネが必要です。矯正は、右目=近視性乱視に遠視が加わった強度の混合乱視。矯正視力=0.9 左目=近視性乱視に遠視が加わった軽度の混合乱視で、矯正視力=0.7です。ご持参メガネは 遠方の遠視が弱すぎて、老眼鏡は強い度数が処方されていましたので老眼鏡にしか使えなったわけです。
 遠方視力の矯正効果が少し悪いようですが、白内障の可能性が疑われます。
A様は検眼中、頭と首が斜めに傾き、肩も斜めに下がっていました。普通、首を5度~10度くらい傾斜をつけ物を見ても目は姿勢反射運動で物が二つに見える「複視」なることはないのです。A様も年の生だと気になされていませんでした。
 斜頸には多くの上下斜視(斜位)があります。それは、両眼視と前庭眼反射が関係しています。
 私たちは左右の二つの目で同時に物を見ています。ところが斜位(かくれ斜視)になると二つの目が同じ方向に向いていない状態になり、複視を自覚することになります。
 結果―遠視性の強度乱視のほか、大きなかくれ斜視が見つかりました。両目を動かしている筋肉は弱くまた、隠れ斜視が強い。これが目の疲れや肩こりの原因と考えられます。
 そこで、遠視と隠れ斜視を矯正するため、プリズム入りのレンズを処方し、老眼鏡をたした遠近両用メガネをお作りしました。2週間後、ご来店時には傾いていた頭と首は以前より、まっすぐになり、肩の左右の傾きも消えていました。その後、1か月たった現在は、肩こりや物のダブりもなく、快適にメガネを使われています。